もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい


その日から、私と千晴くんの関係はもう修復が叶わなくなった。

一緒に帰ることも、学校で目を合わせることも、名前呼びだって…

“当たり前”は失って初めて気づくと言うことを深く実感した。


彼はきっと、自分のせいで私が虐められていたのだと勘違いしている。

優しすぎるから。

責任感が強すぎるから。

容赦なく、全てを背負って傷ついてしまうんだ。

それが苦しくて苦しくてたまらない。

彼にそんな風に思わせた、私が憎い。



千晴くんは話しかければ答えてくれるし、一緒に帰ろうと声を掛ければきっと断りはしない。

それがわかっていながらも、私は彼の名前を呼べなかった。

だって、私のせいで彼を傷つけることになってしまったのに、今更何を言えば良いの?

私を守ろうとしてくれているのに、全部台無しにするの?

そう思うと、声が出せなかった。




千晴くんとのことがあって数日後、颯希が一緒に帰ろうと誘って来た。

二人で帰ったことはほとんどない。

だって、いつも三人だったから。

私が千晴くんの名前を出すと、彼は言葉を濁しながらも今日は二人の方が良さそうと言った。

私は直感した。

颯希は勘づいてる。

私たちの変化に。

いつでも颯希は人を良く見てるし、いち早く変化に気づく。

彼はそう言う人だ。

私が怪我を放置していたときも、千晴くんが風邪を隠して学校に来たときも、一番に気づいてくれたのはいつだって颯希。

千晴くんは気づいても隠していることを曝け出すのが良いことなのか、と悩んでしまうらしい。

それはそれで優しいなぁ、と感心するが、颯希のはっきりと言葉にする勇気は本当にカッコいい。