もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

それでも颯希は気が済まなかったのか、千晴くんに尋ねた。

『なあ、千晴は…あの人のこと、いいのか』

やけに真剣な颯希に、千晴くんは彼の緊張を解くかのように優しく微笑んだ。

小学生とは思えない、大人びた態度で。

『大丈夫だよ。僕と弟にすごく良くしてくれる人だから。

もちろん、完全に父と思える日が来るのかはわからないけれど…、大丈夫。ちゃんと、家族になれるよ。

ありがとう、颯希。心配してくれて』

偽りのない千晴くんの言葉に颯希はそんなの当たり前だろ、と笑った。

不安は完全に拭うことはできない。

だけれど、今は彼の言葉を信じたいと思った。

何より、彼はなりたい自分になっているだけだし、いつだって私たちのことを気にかけてくれている。

それがわかっていたから。

それ以上詮索することもなく、私たちと千晴くんとの関係はそう変わらなかった。

都合が合う日は一緒に帰って、学校でも空いた時間は何気ない会話を交わして、目があったら微笑みあって。


そんな当たり前の日常を過ごしているうちに、気づけば私たちは中学生になっていた。