『ってことがあって…ちょっと怖い…』
どうしようもなくなった私は七菜香に相談することにした。
彼女の心の負担を増やすことになるのでは、と今までは躊躇っていたけれど、もう限界だった。
このままこんな日々が続けば、私はクラスメイトを嫌いになってしまうだろう。
そうなれば、毎日の学校生活は苦痛で仕方なくなる。
今でも辛いのに、これ以上悲痛な思いはしたくなかった。
いつも返信が風のように早い七菜香なのだけれど、今日ばかりは既読がついてもなかなか新しい文面は表れなかった。
そんなに悩んでくれているのか、とありがたく思っているとしばらくして着信が来る。
『そっか、きっと雨音と仲良くなりたいだけだよ。あ、ごめんー!ちょっと急用できたからまたね!』
いつも丁寧な彼女にしては珍しいなぁ、と思ったけれどきっとそんな日もある。
私は自分を納得させて『また明日』と記し、名残惜しくもスマホの電源を落とした。
さっきまで明るい光を帯びていた画面は、深い闇に包まれてしまう。
車窓から空を見ると、空全体が分厚い雲で覆われていてなんとも言えない不安に襲われるのだった。
