もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

気づけば、絶対に言っちゃいけないことを口にしていた。

でも、一度溢れ出した感情を抑え込む方法を、私は知らない。

「何でもできるし、皆に好かれてるし、その容姿でしょ。
終いには名前も“千晴”って…皆を照らす光そのものって感じだよね。

私は生まれ変わるなら天沢になりたいよ」


溜め込んでいた堰が切れたせいか、何でも言えてしまう。

こんなことを言われたら相手がどんな気持ちになるのか…なんて。

冷静に考えられるわけがなかった。


でも、どんなに天沢の心に刺さっても。

彼が絶対に言い返してこない確信があった。


だって、全部本当のことだから。


嘘を言えない彼は、ただただ俯くだけだ。

必ず。




それなのに、彼はその予想をいとも簡単に裏切った。




「…僕は、この顔だけには…僕にだけは、なりたくなかった…っ!」


震えた悲痛な叫び。

いつも温和な彼がこんな風に感情を露わにしたことは初めてで、言葉を失う。



でも、その言葉の意味を理解した瞬間、何もかもが吹っ飛んでしまった。

「それはっ、天沢が一番言っちゃいけないことだよっ!
天沢のことを好きなった人に、天沢に憧れている人に、天沢になりたくてもなれない人に!失礼、でしょっ!?」

わけもなく流れ出そうな涙を必死に抑え込みながら、醜いと言われ続けた声で言葉を吐く。

汚い。

私は、汚いんだよっ!

天沢みたいに、外見も中身も綺麗になりたかった!!



…わかってよ。


天沢は、トクベツなんだから…っ。