もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「あー!!なるほどなるほどー!だから水瀬さんと羽虹かぁ」

熱を帯びていた頬が一瞬で凍る。

なんで…私?

全身が悪寒に囚われる。

今すぐ逃げ出したいのに、できない。

聞きたくないけれど、ここまで聴いてしまって無視できるの…?

「えーなになに?情報持ってんの?話してよ」

「それがさぁ…私、一年の最後らへんに千晴くんと羽虹が一緒にいるところ、たまたま見ちゃったんだけど…その時千晴くんが言ってたの。

『水瀬さんはすごく良い人なんだ。きっと仲良くなれるよ。よろしくね』

って」



頭が追いつかない。


この人たちは何を言ってるの…?



「ええー!!それってあれでしょ!?水瀬さんって一年の頃ずっと一人だったから、誰かと仲良くなれるように配慮したってことでしょ!?」

「絶対そーだよ!千晴くんもやるねぇ、自分のこと好きな子が、断れないってわかってたんでしょー」

「でも優しくない?一匹狼さんにも構ってあげるなんて!うわぁ、二度惚れだよ!!」





何もかもが煩くて、冷たくて、痛かった。



全身がブルブル震える。



羽虹は、偽物の友達だったの…?



天沢は、羽虹の想いをわかっていながら私を押し付けたの…?




嘘、嘘、嘘…!



天沢、それは優しさじゃないよ…!

間違ってる!

本当の友達だと思っていた人が、誰かの言いなりで仲良くしてるってわかったら…

どんな気持ちになるか、天沢の完璧な頭脳で考えたらすぐにわかるはずでしょ…?






筆箱なんて頭から完全に消えて、私は学校を飛び出していた。

小雨が体温を奪っていく。




誰を責めればいいのか、わからなかった。


天沢へ対する恋心で私に近づいた羽虹?

羽虹の気持ちを利用した天沢?

盗み聞きして、勝手に噂を信じ込んでる私?



もう、何もわかんないよ。

根拠のない噂に振り回されているだけかもしれない。

でも、全部本当かもしれない。


何を信じればいいの…?




頬を伝う透明の液体が、雨粒なのか涙なのかさえも今の私にはわからなかった。