もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「それでさぁ、羽虹がなんか女子に『調子乗んなよ』的なこと言われてたときに、千晴様が『それ以上言ったら怒るよ』って言ったらしいの!」

「え、いつも温和な千晴くんが!?えーやばっ、想像するだけで最高なんですけど!カッコいいー!!」

きゃあきゃあ騒ぎ出す女子にはついていけないが、天沢の一面に私も少しだけ平常心を取り戻す。



怒る天沢は想像できない。

この人たちの言う通り、天沢はいつだって雰囲気がふわふわしていて、とても温かい。

よっぽどのことをされても、きっと彼は怒ったりしないだろう。



…でも、天沢は優しいから。

人のためなら、なんでもする。


誰かが苦しんでいたら、その人を助けるためには手段を選ばない。

きっと、それは中学の頃から変わっていないんだなぁ、とさっきまでの全てを忘れて一人微笑んだ。


心がベールに包まれたような、そんな安心感。



「ふぅ、でもさぁ…千晴くんって優しいし、誰に対してもそうじゃないの?」

「そうだけど…不安じゃん?私の知らない千晴様を知ってるってことだし…」

羞恥心のせいか小さく萎められた声に、私はなんだか虚しくなる。


何してるんだろう。

彼女は本気で天沢が好きなんだ。

純粋な、恋。


自分で考えているくせに、なんだか顔が熱ってくる。

流石にこれ以上はいられない、とようやく動こうとしたその時。

信じられない言葉が、私の耳に飛び込んできた。