もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい







放課後。

羽虹と帰途に着き、いつもの場所で別れた後。

私は教室に筆箱を忘れたことに気がついた。


家に代わりのシャーペンや消しゴムがないこともないが、明日は土曜日。

二日間も学校に置きっぱなしは何となく気が引けて、学校に戻ることにした。


空は雲に覆われていて、太陽が見えない。

なんだか嫌な予感がするなぁ、となんの根拠もなく思った。






不安は杞憂で、特に何事もなく学校に着く。

鞄に入れていた上靴を履き、教室に向かった。



廊下は静けさに包まれている。

人盛りができて音に溢れているいつもの廊下と同じ場所だとは思えなくて、なんだか妙な気分になった。



人一人いない。


…それもそうだ。

私たちは一時間ほど図書室で本を読んでいたので、とっくに部活が始まっているし、帰宅部は家についているだろう。

誰にも会わずに済むことにほっと息を吐きながら、ここ二ヶ月ほど通ってきた道のりをのんびりと歩く。

誰もいない暗い教室をいくつか通り過ぎて二年一組の教室が見えたとき、私は言葉を失った。


…電気がついてる。


なんで、と一度足を止めてしまうが、もしかしたら消し忘れただけかもしれない、と一縷の望みをかけて教室に近づいていく。

恐る恐る足音を殺して覗き込むと、私の願望は悲しく散った。


小野さんと仲の良い人達が、机をくっつけて話している。


私はバレないように咄嗟に身を引いた。

廊下の壁に身を寄せて、ぐっと鞄を握る。