もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい





「これからちょっと、テスト前だし…二、三週間くらい会うのやめない?」

土曜日。

私は天沢に思い切って話を切り出す…ことはできず、テスト週間を言い訳にしばらく会うのをやめないか、と持ちかけた。

天沢は感情を全面には出さなかったがなかなか答えが返ってこない時点で、少なからずショックを受けていることがわかる。



彼の完璧な笑みの裏側を、私には少しだけ見せてくれている気がした。



学校ではこっちに視線を向けることなく、まるで他人…というか、他人以外の何でもないけれど。

ただのクラスメイトで、王子様と平民だ。



彼は演技がとてつもなく上手いのだろう。


でも、知っている。


天沢は誰かに「水瀬さんと仲良いの?」と尋ねられたら、首を振って否定することはできない。


彼は嘘が吐けないから。

私よりも、断然。



でも一つのことに対しては、天沢はいとも簡単に嘘を吐く。

それは、感情。想い。


彼は、自分の感情を制御している。


今だって…ほら、、


「…そうだね。うん、わかった」

天沢は朗らかに微笑んだ後、微かに俯く。


平気なふりを装っているが、内心は何かしたかな、という不安でいっぱいなのだろう。


だから、寂しげに瞳を曇らせる。


その姿に罪悪感に心を刺されながらも、やっぱりやめた、とは言えなかった。

ここで引き返したら、だめだ。

天沢に近づけば、一番困るのは彼なのだから。