泣いてる君に恋した世界で、



それは保護者参加型のお遊戯の一枚。

ドアップじゃないけれど表情が見えるか見えないかくらいの距離から撮影したばあちゃんと羽星の姿。

二人の左右隣には母さんと同じくらいの母親と嬉しそうに恥ずかしそうに手を繋いで踊った姿が映っていた。その周りには父親と踊っている姿もあった。羽星たち以外が()()だった。

その一瞬の表情を捕らえたのがこの一枚だった。

無理にでも笑おうとぎこちなく口角を上げようとしている。視線は他所を見ていて。刹那げに遠くを見つめている彼女。


――おれは、その一枚を見て見ぬふりしていたんだ。


「ごめんな」

ちゃんと見てなくて。


自然と溢れた言葉。うららはもっと声をあげて泣いた。


幸いばあちゃんとじいちゃんは買い物で居ないからこの哀しみを見られてなくてほっとしている。だからなのか、俺も静かに流した。