「高橋さーん、高橋色人さーん、三番のお部屋へどうぞー」

 看護師に呼ばれ、待合室の椅子から腰を上げる。

 休日診療もやっているけれど、わざわざ有休を使って平日に来るのはそのほうが空いていて主治医と話がしやすいからだ。

 今日だって待合室には自分ともう一人、若い男の子しかいなかった。

 金髪に、ちょっと二度見するくらいのピアスと黒いジャージ。

 高校生くらいだろうか、気の毒にと思いながら部屋に入る。

 よくよく考えれば自分は中学生のときからここに通っているので似たようなものかもしれなかった。

「こんにちは、高橋さん。今月は調子はどうですか」