「高橋くん、お母さん、僕が今後の担当医になります。瀬戸口です」
「担当医? いや今日はこの子も私もただの問診のつもりで」
「ここに来るってことは、もうそういうことなんです。症状は色がうまく見えない、ということで間違いないですね?」
「はい、だから最初は色覚異常とか視力の問題かそういうのかと思って眼科に行ったんです」
「異常はないと言われた。間違いないですか?」
「はい、だから俺もうわけわかんなくて」
真面目な顔で瀬戸口医師は細かく症状を書き込んでいく。
自分が今まで言われてきた診断をひとつひとつ思い出して伝えれば、そのたびにうんうんと大きくうなずいてくれた。



