「…なっ。いや、違う。偽彼女は違うんだ」

瑠翔は困惑しながら、声のトーン低めで返答した。

私はその返答に疑問を感じた。

違うなら、何が違うのか言ってよ。

「…じゃあ、なんでいきなり告白なんて…」

 私は瑠翔に聞きたいことを聞いた。
 
 前までは偽彼女やれだの。掟3つ考えたから、やれだの。

 文句言ってきたのに、今は昔の瑠翔みたい。

 嫌ではないけど、疑問が湧いてくる。

 なんでなんでって。

 頭の中がなんで?状態。

 ほんとに意味が分からない。

「…偽彼女は俺の…。俺が結愛が好き…だからだよ」

瑠翔は口を尖らせて、私にふてくされながらも好きだよと優しい声で言ってきた。

私を包み込むように優しく穏やかな表情で伝えてきた。

 表情と言葉で、瑠翔が思っていることを感じ取られた。

「……ほんとに」

 私は目を大きく開いて、照れてる瑠翔を見る。

瑠翔が私のことが好きなのか言葉で伝えてくれていたのに、信じられなかった。

瑠翔がちゃんと私を見ていることに嬉しかったんだ。

 素直じゃない瑠翔は俺様の時とは違く、貴重だ。

「…っほんとだよ!何回も言わせんな。だから、偽彼女にしてって言ったのはお前が他の男に取られたくないからだよ。でも、それであいつと仲良くなりやがって…」

目を逸らしながらも私のことをチラチラ見て、腕を組んだ瑠翔は大きい声で私に言って不貞腐れていた。

さっきほどまでそんな人もいなかったのに、カップルや家族連れが数人いた。

その人達は私たちを見て、何しているんだろうと不思議そうに見ていた。