いつもより静かで俺様ではない、瑠翔。

俺様の瑠翔。

どっちが本物の瑠翔なの?

私は困惑しながら、近所のスーパーに足を運ぶ。

瑠翔は私の後ろをついてきて、私がかごを片手で持っていると、瑠翔はかごを持っていた私の手を何も言わずに取った。

私は瑠翔の顔を見る。
瑠翔は、真顔で真正面を見ていた。

そんな姿に私は何を考えているのか分からなく、いつもの瑠翔じゃないのが違和感。

いや、前のほうが言動酷かったけど、それはそれで変な感じ。

小さい頃、優しかった瑠翔。
現在の瑠翔は俺様男子。

どの瑠翔も彼の中に存在するけど……今の瑠翔は何かが変だ。

初めて見る瑠翔の表情ばかりで……それは本当の瑠翔のかが分からない。

私は母からもらった紙切れを左手で持ち、そのコーナーごとにある野菜を回って、瑠翔が持っているかごに入れた。

「…瑠翔。私、払ってくるから。大丈夫だよ」

 私は母から頼まれた野菜をかごに入れたので、瑠翔の手を取り、会計場所に行き、瑠翔に言った。

瑠翔と私の手が重なった。

あっと私たちは声を発して、目線を合わせた。

お互い目を合わせてから、私は目を左右に見ていた。

「……あっ、ああ、分かった」

瑠翔は気まずい雰囲気の中、目を泳がせてから素直に返事をして、私が会計を済ませるまで外で待っていてくれた。

私は鞄からエコバックを取り出して、かごの中にあった野菜たちを入れて、外にいた瑠翔に声をかけた。