私はもう諦めて、瑠翔を見ずに下を向いた。

瑠翔は私にそう言ってから、無我夢中で走っていた。

すると、体育裏に連れていかれた。

「なんでこんな所?」

私は体育裏に初めて来たので、キョロキョロしながら、瑠翔に聞く。

「聞こえると、困るから」

瑠翔は真顔で呟くように私に言ってきた。

「…どうしたの?」

私はあまり見ない瑠翔の真顔をまじまじと見据えた。

「…俺のニセ彼女やれ」

瑠翔は、命令口調で私に低い声のトーンで発した。

はあ?ここに呼び出したの、それ?

「…やんなかったら、どうするつもり?」

私は少しだけ瑠翔を見て、聞く。

「やるよな?」

瑠翔は私のことを聞かず、やるよな?と聞いてくるだけだった。

話をしても意味がない。
こういう時は話しようがない。

「………なんでニセ彼女なんか」

私は苦笑いを浮かべて、再び聞くと、瑠翔は髪をぐしゃぐしゃにして、ため息をついていた。

「もう、ウンザリなんだよ。女子が何回も何回も俺に告ってくるのは」

瑠翔は嫌そうな顔をして、私に言ってくる。

モテ男自慢。
モテ男にしか、言えないセリフ。

告白される女の子の気持ちになれよと突っ込みたくなる。

「…だから、ニセ彼女って?」