「…勝負しましょう。僕と瑠翔先輩で。勝ったら、相波さんとデートできる券はどうですか」

上杉くんは瑠翔を指差して、言った。

「…いいだろう。なら、勝負に関する内容は俺が決める」

瑠翔は睨みつけながら、上杉くんの顔を凝視して去っていた。

私がいるとこと反対方向で去っていた。

上杉くんは一人残されていて、何かを考えているようだった。

私は他のクラスのドアによりかかって、上を見つめた。

なんで、瑠翔がそんなこというの。

ニセ彼女はただのフリでしょ。

なんでそんなムキになるの。

分かんないよ、瑠翔が。

私はため息をついてから、廊下に出た。

すると、上杉くんと鉢合わせた。

「か、上杉くん」

私は目を丸くして、声を発した。

「あ、相波さん。どうしたの?」

上杉くんは大きな目を見開いて、聞いてきた。

「いや、なんでも。忘れ物探ししてただけ。移動教室の時、ここ使ったから」

上杉くんはもう帰ったと思ってたから、まさかまだいるとは思わなかった。

瑠翔が去ってからも、立ちつくしていたの?