本当のこと、言いたい。
本当はニセ彼女だって。
でも、言ったら…瑠翔は何をしてくるか分からない。
私は下を向いて、黙っていた。
「何あったか分からないけど。言いたい時に言って。ねぇ?結愛」
智子は私のことを見ながら、優しく私の考えている心を見透かすように言ってきた。
「ありがとう」
私は礼を言って、智子に微笑む。
キーンコンカーコンキーンコンカーコン
学校の鐘が鳴り響く。
クラスメイト達は、席に着き、すぐ担任が来て、朝礼が始まる。
担任が一人ひとりの名前を呼ぶ中で、私は自分の名前を呼ばれるまで、ソワソワしていた。
私の名前が呼ばれると、はいと大きい声で言った。
私は恥ずかしくなり、両手を膝に置いて、下を向いた。
毎日行われる点呼は、私は苦手だ。
いつも声を出すのが苦手で、下を向いてしまう。
私は心の中で息を整えて、冷静になる。
だが、そんな姿を誰かが見ていた。

