近い!
近すぎるんだよ!
ほんと、よく見るとほんと顔整ってるんだよな。
毎日のように見ている瑠翔の顔。
それでも、見慣れない。
小さい頃から顔立ちもよくて、子役でもやっていそうな芸能人みたいな輝きがあった。
私はその外見だけではなく、性格面まで見て判断していたが、やはり顔を見ると、
違う輝きが見える。
うっ、眩しい。
でも、小さい頃の泣きそうになりながらも我慢していた瑠翔を思い出すと笑いそうになるけども…
昔から光り輝いていて、平凡な私は困り果てる一方だ。
「な、なんでそんなこと」
私は昔の瑠翔を思い出しながらも戸惑いながら、瑠翔に聞く。
「お前、アホだな。俺がお前にそんなことする訳ないだろ」
私を馬鹿にして、瑠翔は低い声で上から目線で言ってくる。
なんで私だけにそんな言葉。
昔は私に対して、優しく声をかけてくれていたが、成長するにつれて瑠翔は言葉が荒くなっていたのだ。
理由は分からない。
だから、私は瑠翔に言えない。
瑠翔はなんで私に冷たくしてきたのか、ただの思春期だからか
彼の意図が見えなくなっていた。
私は好きだって気持ちがあるなんて言いたいけど、瑠翔に言っても無理だ。
振られるに決まっている。
「……そうだね」
私は悲しげな表情を浮かべつつも下を向いて、そっけなく返事をした。
すると、瑠翔は私の目を逸らした。
「なんだよ」
瑠翔はつまらなさそうに下を向き、一人で呟いていた。
「…え?」
私は予想だにしない瑠翔の返答に驚いた。
いつもの瑠翔はあ、そうと冷たくあしらっていたはずだ。
その返答は瑠翔らしくない。
「なんでもねぇよ」
舌打ちして瑠翔は自分の部屋に塀を登って、戻っていた。

