私は智子に電話を切ったら、ピンポーンと呼び鈴が鳴り響いた。

 この日は、父・母は二人で出かけており、19時だっていうのにこんな時間に誰だろう。

 私は、はーいとドアを開けると、目の前には瑠翔がいた。

「瑠翔」

 私は彼の名を呼んだ。

「…お前危ないじゃん。俺じゃなかったらどうすんだよ。ちゃんとインターホン出てからにしろよ」

 瑠翔は目を丸くして、私に言ってきた。

「う、うん。ごめん。どうしたの?」

 私は瑠翔に謝ってから、この時間に何の用か聞いた。

 来てくれて嬉しいのに、目の前に瑠翔がいるとうまく話せない。

「…俺、あの時最初に結愛に言おうとしたのはほんと。それで結愛が納得しないのは、ほんとにそうだと思う。だから、ごめん。俺の思ってること伝えないで…」

 瑠翔が素直に私に言って謝ってくれているのに、私もちゃんと言わないと…

 そう思い、顔を上げると、瑠翔は私の顔を見ていた。

「……私もごめん。瑠翔が伝えようとしてくれたのに納得しなくて…。伝えようとしてたのに、なんか一番最初に私じゃないだと思って、モヤモヤしたの」

 私は下を向きながらも瑠翔をチラチラと見て、声を発した。

「…そっか。結愛がそんな想いだったんだ。聞けて嬉しいよ。ほんと、ありがとう」

 瑠翔は嬉しそうに私を見てから、照れくさそうにしていた。

「こちらこそ。瑠翔の将来の話、なんかあったら、言ってね」

 私は満面な笑みを浮かべて、瑠翔を見る。

「じゃあ、俺の話してもいい。やりたいこととか沢山あるんだ」

 私を見てから瑠翔は笑みを浮かべて、私の手を取って、私の家に入った。

 それから、リビングでテレビを見ながら、これもやりたい、私もやりたいなど。

 瑠翔のやりたいこととか私のことなど、大学進学だけではない話をした。

 私と二人でやりたいことも話して、お互い笑いあっていた。

 その日はソファーにお互い寄りかかりながら、いつの間にか寝ていた。

 親たちが帰ってきたのはいつだか覚えていないが、母曰く、子供の頃に戻ったみたいだったよと言っていた。

 それだけで、私たちが恋人同士とはまだ分からなかったみたいだった。