あっという間に、正月が終わり、新年度を迎えていた。

「私たちももう高校2年生だね。早いね、結愛はこの1年で瑠翔と付き合うようになったしね」

 智子は私の方を向いて、笑顔で答えていた。

「うん、そうだね。高校2年生になってもよろしくね。また、クラスも一緒だし」

 その笑顔に私も微笑んで返答をした。

「だね。瑠翔はどこだろう?」

 私はキョロキョロと見渡していると、智子が声を発した。

「そこにいるよ、ほら」

 智子は私の返答に答えて、瑠翔を指さして教えてくれた。

 瑠翔は私たちに気づいて、私たちのほうへ歩み寄ってきた。

「結愛。あいつとまた同じクラスでよかったな」

 瑠翔は智子を少しチラッと見てから、私に声を発した。

「ちょっといい加減、名前覚えてくれる?結愛以外、眼中ないんですね」

 智子はイラっとした表情を浮かべて、瑠翔に言う。

「ないね。他の女になんて興味ない」

 瑠翔は、はっきりと口にして、私の隣に来て、私の肩を両手で触った。

「はいはい。そうですよね。瑠翔先輩と一樹先輩は将来どうするんですか」

 智子は両手を挙げて、はいはいと適当な返事をして、気になったことを瑠翔たちに聞く。

「僕は、地元の大学を受けるよ。経済について学びたいからね。瑠翔は県外の大学に行く予定だよな」

 一樹は頭の上に両腕をあげて、真正面にいる瑠翔に話しかける。

「…そうだよ」

 瑠翔は下を向いて、返事をした。

 私は瑠翔の進学のことを初めて聞いた。

 県外の大学に行くなんて…

 瑠翔の方を見ると、私を見てから目線を外していた。

 俺たち、教室行くからなと瑠翔は手を振って、去っていた。

 私は瑠翔が何を考えているのか分からなくなった。

 私のことは好きだっていう気持ちがあるのは瑠翔がちゃんと伝えてくれたから……

 でも、瑠翔が将来どうなりたいなんて聞いたこともなかった。

 瑠翔はいつも私のことを気にかけてくれるけど、自分のことはあまり話さないから……