授業を終えて、私は自宅に帰るまで、クリスマスについて考えていた。

 クリスマスか……

 今は12月中旬頃。

 もうクリスマスの予定を考える頃だよね。
 
 前まではいつもの家族と一緒に過ごすのが当たり前だったけど……

 今年は違う。

 瑠翔と恋人同士になったからだ。

 瑠翔は何も考えていないだろうな。

 いつも通りだろうな。

 何も考えていないだろうなぁ。

 私はクリスマスのことを考えながら自宅のドアを開けて、母にただいまと返事をして、靴を脱いだ。

「おかえり。今日唐揚げだからね…。あ、瑠翔くん来てるよ」

 母はお玉を右手で持って、笑顔で迎えてくれた。
 
 瑠翔もリビングにいて、コーラーを片手に持ち、飲んでいた。

「…瑠翔…」

 私は瑠翔の名を呼び、彼を見つめる。

「瑠翔くん。結愛の帰り待ってたのよ。ねぇ、瑠翔くん」
 
 母は瑠翔の名を呼んでから、甘える声で瑠翔を呼んでいた。

「…お母さん。それやめてよ。いい年なんだから…」

 私は呆れた顔で苦笑いを浮かべて、母に言う。

「あら、イヤだ。これが私よ。オホホホ」

 母は顔に手を当てて、笑い始めた。

「…瑠翔、私の部屋に行こう」

「…おう」

 私は階段を上り、瑠翔を私の部屋によんだ。

「……あ、瑠翔はク、クリスマスって何するの?」

 瑠翔を私の部屋に入れて、私は聞きたかったことを口にする。

「……いつも通り過ごすけど…」

 瑠翔は目を逸らして、鞄を手に持ち、部屋の床に置いた。

「…そうだよね」

 私はしょんぼりとして、自分のカバンを椅子に置いて、返事をした。

 瑠翔は特に変わらない。

 私が恋人になったとしても……


「…結愛。クリスマス、俺の家族と過ごすけど、その間抜けて二人で過ごそう」

 瑠翔は照れながらも私に言って、私をチラチラと見ていた。

「う、うん。あのさ、智子から誘われたんだけど…クリスマスイブ、一樹先輩と瑠翔も一緒にって…どう?」

 私は自分の部屋の床に座ると、瑠翔も私の隣に来て座った。

「……結愛が行くなら…いいけど」

 瑠翔は両腕を組んでから、小さい声で発した。

 私は隣にいた瑠翔を見て、微笑んだ。

「ありがとう」

 瑠翔は私の返事をして、私の微笑んだ顔をじっーと見ていた。