診察を終えて利久さんは重い口を開いた。
ポテトは寝そべったままもう僅かに体を動かせるだけ。
まだ温かいのに意識も朦朧としているように見えた。 それを見た瞬間体がぶるりと震えた。
「動けなくなっているのは足が折れていて、腰がもう動かせなくなっているからです。
もうずっと苦しかったんじゃないかな?
体はもうだいぶ弱っています。 痛みを温和する事は出来るけれど…もうこれ以上は……」
抱きしめていたゆなちゃんの体が小刻みに震えていた。 うーと嗚咽を漏らして、再びぎゅっと私へと抱き着く。
ゆなちゃんのお母さんの目も真っ赤になっていた。
もうこれ以上どれだけの治療をしても良くなる事はないって利久さんはずっと知っていたのだ。
いつか突然こんな日が来てしまう事も。 悔しそうに唇を噛みしめた利久さんは、殆ど意識のなくなっていたポテトの背中を優しく撫でる。
「ポテトはゆなちゃん達ともっと一緒に居たかったから、今までずっと頑張ってきたんじゃないかな?」
そう優しく利久さんはゆなちゃんに言って、泣きじゃくる彼女の頭を撫でる。 さっきポテトを撫でてあげたのと同じように。



