「利久さぁーん……」
「君が泣いてどうする。 もうすぐゆなちゃん達がやって来る。 病院の入り口を開けておいてくれ。
俺は着替えて用意する」
「は、はい…!」
私だってここで働いて三ヵ月になるのだ。 泣いてなんかいられない。
病院を開けてゆなちゃん達が来るのを待つ。
そして11時ぴったりに、猫バックを持った泣き腫らした目をしたゆなちゃんがやって来たのだ。
会った瞬間ゆなちゃんはぎゅっと私に抱き着いてきて、「ポテト死んじゃうの?」と瞳に涙をいっぱい溜めて言ってきた。
その姿を見て何も言えなくって、彼女をただただ抱きしめる事しか出来なかった。
死ぬわけないよ。 利久先生が何とかしてくれるんだよ…。 そんな無責任な事は言えない。あの状態で元気で生きていた事さえ奇跡だと利久さんは言っていたのだから。 いつお別れが来てもおかしくない状態だったのだ。



