【完】セカンドマリッジライフ


「あ、あははは。なーんて。 それにしてもゆなちゃんのポテトすっごく元気ですよね。 20年も生きてるなんて本当にすっごい!」

「まあ…猫で20年生きるなんて珍しい話だよ。」

一瞬だけ利久さんの表情が曇った気がした。 診察台を片付けて、器械をしまってから彼は受付の場所にやってきてカルテを手に取る。

「それでもやっぱり寿命ってもんがあるもんでさ、生き物だから当然か。
20年生きた事こそ奇跡に近い確率なんだ。 だからいつ死んじゃうかも分かんないんだよね。
あれだけご家族もゆなちゃんも可愛がっている猫だから、その日の事を想うと少し辛いな…。」

命を扱う仕事だ。 利久さんは私以上に犬や猫の死と多く向き合ってきた。
確かに永遠なんてものはない。
いつか来るその日を想像して、ゆなちゃんの気持ちを考えると一気に気持ちが沈んでいく。

「あんまり良くないんですか?ポテト…」