夜は夜らしくシンと静まり返る北海道のこの街で、利久さんはいつだって柔らかな光を称え見守ってくれているお月さまのように癒し系だ。

だから夜を怖いと思えなくなっていた。 私はこの街でどんな時間帯だって顔を隠さなくっていい。 新しい自分を生きている。


ぽつりぽつりと自分の事を話してくれるようになった利久さん。 この間初めて前の奥さんの事について話してくれた。

彼に心から愛されて望まれて結婚をした女性。 一体どんな人だったのだろう? 気になりだしてしまえば、気になって気になって仕方が無かった。

確かにそこに芽生え始めた特別な感情があった。 彼に愛された女性がとても気になる。 彼の事をもっと知りたい。 戸籍上の妻だけではなく…私は彼の特別になれないのだろうか…?

「雪乃ちゃん、どおしたの?ボーっとして。」

「あ、ごめんごめん。ゆなちゃん。 もう少しでポテトの点滴終わるからね~」