【完】セカンドマリッジライフ


直ぐに退散するとばかり思ったのに雪乃は牧場の雰囲気がえらく気に入ったらしく、おっさんや奥さんと楽しそうに会話していた。しまいにはお茶までご馳走になる始末だ。

まあ、それは良い。 今日一日は彼女の為に観光すると決めていた。 小高い丘はまだ花は咲いていなかったが売店はやっていて、そこで彼女は念願のソフトクリームを買った。 小さな街が一望出来て嬉しそうだった。

売店の側にあったベンチに腰を掛けて珈琲を飲んでいると、彼女はキャッキャッとはしゃいで指をさした先に見える景色について随一俺へと報告してきた。

「大丈夫か?疲れていないか?」

「ぜーんぜん!むしろ楽しいし、ソフトクリームも牛乳が濃厚で超美味しい~ッ。
これなら何個でも食べれちゃう。ジェラートもあったから食べちゃおっかなーー」

春とはいえまだ肌寒い。 ホットの珈琲を飲んでブルブルと震えている自分とは歳の差を感じる。 いや、これは歳の差の問題だけではないか。

太陽に向かって大きく息を吸って吐くと、彼女はこちらを振り返って満面の笑顔を向ける。