【完】セカンドマリッジライフ


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「ひゃあーッ!すっごい絶景…!うひゃひゃひゃ、空気が気持ち良い!ほら、利久さんも…!
息を吸って吐いて。はぁー…空気が美味しいってこういう事を言うのね。」

牧場の馬鹿でかい馬に囲まれた一角に俺の飼っているポニーは居た。 こうやって時たま会いに来る。

病気の為に処分される予定だった子を引き取った。 俺は獣医だ。 家ではさすがに飼えないが近くの牧場に居ればこうやって診察に来れる。

ポニーを生まれて初めて見たと言った雪乃は目を輝かせて、「馬って綺麗な瞳をしているのね」と何の躊躇いもなく顔を近づけた。 人生の中で容姿が美しい女性は何人か見て来た。けれどもこんなに心まで容姿とバランスが取れて美しい女性を見るのは、初めてだったかもしれない。


名前はなんという?と訊かれ「ニンジンだ」と言ったら彼女はまた大爆笑した。
猫も飼った順番にイチ、ニ、サンだ。
彼女曰く俺はセンスがないらしい。しかしそれがまた良いのだそうだ。