「利久さん私残りのお野菜あげてくるね~!」
ジーンズにパーカーというカジュアルなスタイルで、何の変哲も無いショートカットの栗色の髪なのに
化粧も薄く特別着飾っているわけでもないのに、どうして彼女の笑顔はこんなに眩しいのだろう。
「先生、とっても明るくって良い子じゃないの」
「ええ…まあ…」
「あんないい人がいたなんて先生も隅に置けねぇなあ。
それにしてもすらりとしてモデルさんみたいな美人さんだなあ。 先生もかっこいいからお似合いだよ」
牧場主であるおっさんは雪乃とお揃いの笑顔で笑った。
俺には似合わないような出来た女性だと思う。ましてやこんな田舎に来るべき人間ではない。
彼女のような太陽みたいに明るく華やかな女性は、都内の方がずっと似合う。 彼女には彼女に相応しいステージが、この世界のどこかに用意されている気がした。



