結婚した事はさらりと伝えた。 伝えたらびっくりされた。
今日初対面なのだが、俺とおっさんが話しているのを見つけて雪乃は笑顔でこちらへ走り寄って来た。
「こんにちはーッ。きゃはは、皆元気でびっくりしたー!」
「こんにちは、東京から来たんだって?」
「はい…!加賀美 雪乃と申します。
こんなにいっぱいの馬に囲まれたの初めてで面白かったですー。
すごく良い所ですねぇ。空気がすっごく気持ち良い」
「何もないとこだべ? それにしても雪乃ちゃんと先生お似合いじゃないのー」
「そうですかー?えへへー。嬉しいー」
ここまで人と簡単に仲良くなれるのも才能なのだと思う。 雪乃は初対面でも人と直ぐに仲良くなれる。
つーか、誰でも笑っていて気持ちの良い人間と話すのは楽しいのだろう。 そして彼女はどんな人にだって公平な態度を取るから見ていても気持ちがとても良い。
青空の下緑いっぱいの牧場に雪乃の笑い声が響き渡る。 その笑顔は人々に伝染していって人を幸せにする笑顔だ。 ひねくれ者の自分がそう思う位だから彼女の周囲に人が集まって行くのは理解る気がする。



