どう見ても今どきな感じな子なのに不思議だ。 とはいえ俺も余り携帯は見ないタイプの人間だ。 世間の流行りなんつーものには興味がない。 耳障りで目障りだ。 だからそんな彼女と一緒に居る時間は、想像していたよりもホッと安心する時間になっていた。
「珈琲飲むか?」
「飲む!ミルクたっぷりね!」
「はいはい、砂糖もたっぷりな。 そういえば頂き物のチョコレートがある」
「チョコ!!!うれしい!」
人懐っこい瞳はまるで武蔵のようだ。 小さな事でも嬉しくて、毎日初めて見せるような感動を表現する。
誰もが彼女のように生きれたのならば、この世界は小さな幸せで溢れていく事だろう。 誰かと一緒に暮らすのなんて苦痛でしかないと思っていたのに。
彼女の太陽のような眩しい笑顔と、心から嬉しそうな笑い声。 一緒に居るだけでどうしてこんなに柔らかい気持ちになるのだろう。



