「そうか、じゃあもう少し温かくなれば一緒に行けばいい。 君も一応免許は持ってるんだろう? 車を運転するのも楽しいぞ?」
「えー、でも利久さんのワゴンでかすぎて私には運転怖いしなー。そもそもペーパードライバーですもん」
夕ご飯を終えてから雪乃はリビングのソファーの上で武蔵を抱っこして、観光名所の書かれた雑誌をパラパラと捲る。
その横で暖を取る様に猫たちが丸まって眠る。 …誰だって太陽のような明るさを持っている人間の側にいるのは心地良い…か。それは人間だろうが動物だろうが例外ではないらしい。
「うわあー、綺麗だねぇ…。 一面のラベンダー畑なんてテレビでしか見た事ないー。都内は何でもあるけれどこんな綺麗な自然は中々見当たらないからなあ」
一緒にリビングで過ごす時、テレビは余り見ない。 雪乃が来る前からニュースを観る以外は飾りと化していたテレビ。
どうやら彼女も余り好きではないらしい。 それどころか滅多にスマホを弄る事もしない。便利な電子機器があり、情報はインターネットからいくらでも得れるはずなのに雑誌を何冊も買い込んでいる。



