ここのつきめ。 一緒に未来を夢見よう。




十月。 利久さんの言っていた事は本当なのだ。 北海道の秋はあっという間に過ぎていく。

ナナカマドの木が赤い実をつける。上旬は15度近くまであった気温も、下旬になっていくほど10度を下回る。

朝や晩はストーブをつけなくては震えてしまうほど寒い。 それでも雪が降るのを心待ちにしていた。 「十月じゃあまだ降らないよ」と利久さんは言ったけれど、いつ降ってもおかしくない寒さだと思う。

そしてそんな十月下旬、琥太郎達はやって来たのだ。 琥太郎と共にやって来た人物はニューヨーク本社に勤務するという日本人の男性。

二人してピシッとスーツを着て手土産を持ってやって来た。

「NYキャラメルサンド…!」

受け取ったお土産を見て思わず叫ぶと、隣に居た利久さんがゴホンと咳ばらいを一つする。

つ、つい…東京で一番好きだったお土産だったから。 そんな様子を見て琥太郎はくすりと笑いを堪えている。

それにしても久しぶりに会った琥太郎全然変わらないな。 利久さんと比べると全然子供っぽく見える。 というか利久さんが大人びているというか所帯じみているというか…。 いや、褒めてるんだけど。