【完】セカンドマリッジライフ

無理やり利久さんをお風呂場まで押し込むと、彼はありがとうと疲れた笑顔を見せた。

私は全然元気だった。一日いっぱい働いていたとしても利久さんほど精神をすり減らしていない。 寧ろお仕事をするのは楽しいし、愛する人の為に料理を作れるのも楽しい。

利久さんがお風呂に入っている間炒飯を炒めている時だった。

「私も中々板についてきたなー。きゃはッ。 武蔵、私って良い奥さんじゃない?」

足元でお座りをしている武蔵に話を掛けたら、まるで’そうだね!’と言うように小さく鳴いた。

鼻歌を歌いながらダイニングテーブルに炒飯を並べる。 ササっと中華スープまで作れてしまう。自分で言うのもなんだけど、成長したものだ。

誰かの為に何かをしたいと思った時、人はこんなにも好きじゃなかった料理さえも頑張れるものだ。
スープを温めていると、キッチンに置いて居た携帯が突如鳴り響く。

着信画面を見るとそこには登録されていない番号が写し出された。 思わずドキリとして電話に出るか一瞬躊躇う。