自分より早く居なくなって、その死といつか向き合わなくてはいけない日が来るのは理解していた。 それでも人は動物と生きる。 限りある命だからこそ愛しさや一緒に過ごす日々の尊さを教えてくれる。
ゆなちゃんの家に居たポテトだってそうだった。 小さな命はいつだって俺達に大切な事を気づかせてくれる。
「雪乃、もう休まないと。」
「うん、分かっている」
近頃雪乃は食欲がない。 元々華奢な彼女の体が少しずつ痩せていって徐々に弱っていく。 そんな弱々しい姿見たくはなかった。
ソファーで丸まっているイチの側で座り込んで、その周りを武蔵や他の猫たちが心配そうに囲んでいる。
雪乃の笑顔が消えた家はどこか物足りなく全ての景色がくすんで見えた。 雪乃の明るさがこの家を照らしてくれていたんだって改めて気づけたんだ。
どうしてもイチが心配だから、そう言ってここ一週間はほぼリビングで寝ていた雪乃と久しぶりに一緒のベッドで眠った。 ベッドの中雪乃の小さな手をぎゅっと握りしめると、すごく冷たかった。



