【完】セカンドマリッジライフ


「私そんな事思っていない…!!」

互いに言い合いになり、車内は険悪なムードに包まれる。  言い合いがしたかった訳じゃない。
零れ落ちる言葉全てに素直になれなくて、会話が途切れた瞬間深いため息が重なった。


やっぱりのえるは大きな爆弾を置いて帰っていきやがった。 雪乃は顔を逸らしたままで家に着き無言で車から降りる。 空気を読んだ武蔵が彼女の腕に抱かれ切なそうに「キューン」と鳴く。

この三連休、楽しいものにする予定だった。 しかし結局チーズケーキは作れず終いで、二日間も無駄にしてしまった。

いつも笑っている雪乃があんな風に怒るなんて思っても見なかった。 いや、それさえ雪乃の優しさに俺が甘えすぎていたのか。


車を駐車させて重い腰を上げて家へと入って行く。 喧嘩を長引かせるのは精神的にも良くない。 きちんと話をしないと――。そう思った瞬間、家の中から雪乃の悲鳴が聴こえて来た。