【完】セカンドマリッジライフ


のえるは自分から富良野に来たいと言い出したのに、現地に着いたらさっそく文句ばかり言いだした。

楽しくてもつまらなくても分かりやすい程顔に出るのは昔から。 スニーカーを履いてきたのは大きな進歩と言えよう。 しかし本質は全然変わっちゃいなかった。

「北海道の夏は涼しいって聞いたけれど、今日は暑いわね。 私汗をかくのが嫌いなの、体がベタベタになっちゃうし」
「こんな花を見る為にわざわざ田舎までやって来る人間の気が知れないわねぇ」
「はぁー、何だってこんな坂道が多いのよ。 歩くのにもうんざりしちゃうわ…」

のえるは生粋の都会育ちだ。 我儘な性格は直らない。 自分で来たいと言い出したのに、到着して30分でもう帰りたいと言い出したのには呆れた。

「はぁー…喉乾いたー。利久、ミルクティー買って来てよ」

「おい…!お前が来たいって言いだしたからわざわざ車出したんだろう?!
あんまり我儘言うなよッ!」

「そんなカッカッ怒らないでよ。相変わらず利久は気が短いんだから。 カフェないの?!もう喉がカラカラで動けない~~。花ばっかりでちっとも楽しくないし!」