【完】セカンドマリッジライフ


昨日のえるをホテルまで送って行く時雪乃の話は沢山聞いた。

現在のえるとネット上で恋人疑惑が出ているという東 琥太郎という宝石ブランドの社長令息は、雪乃の元カレだったらしい。 聞きたくもない話だったが、知ってしまったら気になって仕方が無かった。

普通に考えればド田舎のしがない獣医よりも、都会の宝石商の御曹司の方が良いに決まっている。 そもそものえるの言う通り雪乃はこんな田舎に居るには勿体ない女なのは確かだ。

二人の話を聞いていない振りをして車のハンドルを握る。 ちらりと雪乃が俺の顔色を窺ったけれどそれには気が付かない振りをした。

「……でも私は本当に未練はないんです。 今利久さんと一緒に居る事の方がずっと大切な時間です」

感動して思わず涙が出そうになる程嬉しい言葉だった。

「ふーん、そんなの変なの」

隣に居る真っピンク頭の女をこのまま何もない道で降ろしてやろうと思うまではムカついたけれど。