「雪乃ちゃん花が好きなの?」

「私はお花も自然も大好きなんです。 だから初めて北海道に来て大自然に触れて感動しちゃって」

「そぉなんだー。東京生まれなのに意外ねぇ~。ちなみに私は自然とか大嫌い。 虫も嫌いだし、花とか自然を見てもちっとも綺麗とは思わないわ」

「あ、あははは~」

じゃあ何で富良野観光に行きたいって言いだしたんだよ?!

やっぱりのえるはのえるだ。あの頃とちっとも変っちゃいない。 そんなのえるを見て雪乃だって苦笑いしている。  …やっぱりのえるを連れて来るんじゃなかった。 はっきりと断れば良かったんだ。

「それにしても雪乃ちゃん、本当にこんなド田舎に来ちゃって後悔してないの?
一年前いきなり引退しちゃったのもびっくりだけど、あなたのキャリアがあればこれからだって仕事はいっぱいあったでしょう?
琥太郎だってまた雪乃と仕事がしたいって言ってたわよ。 でも全然連絡が取れないって」

「ハハ。私はのえるさんみたいに業界にはあんまり向かない性格なんですよ…」

「そんな事ないでしょー?今だったら私より秋月雪乃の方がずっと旬なモデルだもの。 これから先だってあなたと仕事をしたいっていう人はいっぱいいると思うわ。
このままじゃあ勿体ないわよ」