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のえるが何故今更富良野を観光したいだなんて言い出したのか俺には分からなかった。
のえると富良野には嫌な思い出しかない。 あれは結婚する前、まだのえると付き合っていた頃だ。 二泊三日で北海道旅行にやって来た。
俺は自然がいっぱいで静かに時間が流れる場所が好きだったが、のえるは違った。
あの頃から派手なファッションに身を包み、事もあろうことかこの大自然を細く高いピンヒールでやって来て
歩くのが疲れた、だの 虫がいっぱいいて早く帰りたい。 と散々我儘を言いまくった。 結果すぐに喧嘩になり最低最悪の旅行になった。
のえるは喧嘩をしてもすぐにあっけらかんとして、ホテルに帰って来た頃にはすっかりとご機嫌も良くなっていたが。
あの頃はそんなのえるさえも愛しいと思った。 当時から自分とは合わない所があると思いながらそれを見て見ない振りをした。 嫌な所や自分と合わない所はすぐに話し合うべきだった。それを疎かにしたから、結果俺達は破綻した。



