「あの…あの…利久さん…」
「つーかのえる…お前何しに来たんだよ」
「あらあ、この間東京で会った時に言ったじゃない。 オフが出来たら武蔵に会いに来るって。
武蔵ー!私の事覚えてくれてたの?うれしーい!」
東京で会った?そんな話聞いていない!
利久さんは焦ったようにしどろもどろになっていて、武蔵は武蔵でのえるさんに嬉しそうに尻尾を振り懐いている。
…武蔵ってのえるさんが飼っていた犬だったんだ…。 というか…利久さんのえるさんが来てから全然私の方を向いてくれない。のえるさんばっかり見てのえるさんばっかりに話掛けている。
「つーか…いきなり家を訪ねてくるなんてねぇだろ…!どうして住所…」
「あら、定一さんに訊いたのよ。 そんなに怒る事ないじゃないー……私だってたまには武蔵に会いたいわよ」
「10年近くも放置していたくせによくそんな事が言えるな…!
つーかお前いつまで北海道にいるつもりだ?!」
「うふふー三日間連休取っちゃった。 利久も動物病院休みでしょう?観光に付き合ってよ」
「はぁ?!お前何言ってんだ?!」



