【完】セカンドマリッジライフ


確かに病院の入り口の石段にちょこんと座っている人物が居た。 車の中からじゃあよく見えなかったけれど、小さな体を丸めて座っている女性の様だ。

思わずぎょっとしてしまった。何故ならその人はこの辺では珍しく髪が真っピンクだったからだ。 こんな田舎でそんな髪色目立つに決まっている。

「ねぇ……利久さん誰だろう。 ちょっと怖い…。」

ハンドルを握り駐車場に車を入れようとしていた利久さんを見つめると、彼は車内から外をジッと見つめていた。

どうやら私の声は聴こえていないようだ。

「利久さん?利久さんってば…!」

思わず彼の腕をゆする。

「あ、ごめん…。」

利久さんの様子がおかしい。 額に大粒の汗をかいて、目がきょろきょろと動いている。
いつもはクールな利久さんが明らかに焦っている。 何故か嫌な予感がした。胸がざわざわする。

動物病院に隣接するカーポートに車を停めても、利久さんは暫くハンドルを握ったまま動かない。