あなたと一緒に居ると楽しい。 優しい気持ちになる。 私の楽しみを創り出しているのが利久さんだって事、あなたは知らないんでしょう?

満開のお花畑の中でウェディングドレスを着てあなたの隣に立っている。 それがどれだけの幸せかっていう事も知らないんでしょう?

この胸いっぱいの幸せをくれているのは紛れもない利久さんだ。


手を引いて駆け出す大自然の中、少し遅れて利久さんが走り出してその後を武蔵が追ってくる。 ドレスの裾が風でひらひらと揺れる。  北海道の八月は晴れ渡ったスカイブルーの空に真っ白な雲がいくつか浮かび、爽やかな夏の風がすり抜けていく。

手を繋いだり、顔を見合わせて笑い合って、空に向かってジャンプをしたり、利久さんに抱き着いて見たり。

普段はあまり表情の変わらない利久さんの頬が緩んで自然に笑顔になっていく。

丘の上のウェディング場の鐘が空に向かって大きく鳴り響く。 それはまるで私達のこれからの幸せを祝福してくれているようだった。

たまらず利久さんに勢いよく抱き着き頬にキスをすると、彼は少しはにかみながら私を空に向かって抱き上げてくれた。 アーモンド色の瞳が太陽に照らされてキラキラと輝いている。