顔は綻びっぱなしだ。 相当アホ面をしているに違いない。 嬉しすぎて笑いが止まらない。 昔っからの癖の引き笑い不気味だとよく言われた。 利久さんは私の頭を撫でながら、穏やかな笑顔を見せる。

ひまわり畑や彩りの豊かな花道をバックに写真を何枚も撮る。

テンションは上がって行くばかりだ。 様ざまなポーズを撮ってしまうのはモデル時代の癖かと思い胸が痛くなるけれど、隣でたじたじになっている利久さんを見ていると笑えた。

蝶ネクタイを首に巻き付けた武蔵の方がよっぽど撮影慣れしているように見える。

「いーですよー。んー新郎さんちょっと表情がかたいかな~?もっと自然に笑って。」

「…笑えつっても…」

「キャハッ。利久さんガチガチすぎ。でも可愛すぎ!
ほらほら、もっと頬を緩めて」

少しだけ背伸びをして利久さんの頬を両手で引っ張ったら、止めろよ。と言いつつも利久さんが笑ってくれる。

その瞬間、パシャッとカメラのシャッターが切られる。