【完】セカンドマリッジライフ


「あの子利久さんに秘密にしているみたいね。 利久さんが自分がモデルだって事を知らないっていうのも雪乃にとっては楽みたいなの。
知っているのに知らない振りをしてくれていてありがとうね。
10代の頃からスカウトされてずっとモデルをしてて、私も母親だから娘が活躍しているのは嬉しくってね。 ついついあの子の気持ちも考えずに一花や悠達ともすごく応援していたの。
本当に色々とあったの。私達にはさっぱり分からない世界だけど、周囲に嫌な大人達も沢山いてね。 雪乃は私達に一切弱音を吐かなかったけれど苦しい事が沢山あったと思う。
だから勝手に引退を決めた時も謝らなくていいのにずっとごめんなさいって言ってて、当時借りていたマンションに一年間引きこもりっきりになっちゃって…。
雪乃は本当に辛い事を自分の中にため込む癖があって」

そうだったのか。ネットには嘘か誠か分からぬ噂が飛び交っていた。
もしかしたら雪乃はそんな自分を一旦リセットして、新しい生活を始めたかったのかもしれない。

明るく振舞っていたけれど、本当は酷く傷ついていたのかもしれない。  俺は上辺の雪乃の明るさしか見ていなく、彼女の苦しみに気が付いてあげられなかったかもしれない。