「いえいえ、僕は何もしていません。 むしろ僕の方が雪乃さんと一緒に居ると元気が出るっていうか……
でもきっと雪乃さんに無理をさせてしまっている部分はあるかと思います。 彼女はとっても気遣い屋さんだから。
本当は都会が似合う女性で…北海道なんて…僕の所なんて居るべき人ではないのに」
雪乃の母親は意外そうな顔をして、手を止める。 うふふと小さな笑みを浮かべて「幸せねぇ、雪乃は」と言う。
「雪乃から東京に来る前に連絡があってね、色々と片付けておくように頼まれたの。
でも利久さんその様子なら知ってる?」
「雪乃さんが東京でモデルをしていた事ですか? …実は余りテレビも見ないしネットも開かないのでつい最近人から聞いて初めて知ったのですが」
母親はこくんと小さく頷き、ふぅっと小さなため息を漏らす。



