「そうだなあ、お母さん。一度北海道に行ってみるのもいいかもしれんなあ、ここまで雪乃さんが言ってくれているのならば」
「けれど、あなた…!」
「彼女の方が俺達より利久を深く理解しているようだ。
利久も…。もう東京には戻ってくるつもりはないんだな?」
ジッと真剣な瞳を父が向ける。 それに頷く。
「俺は……北海道で雪乃と一緒に生涯を生きて行きたいと思っています…。
自分が勝手な事ばかりしているのは分かっています。
けれどアニマルプロジェクトに携わって行くつもりはありません。」
「うむ。あい、分かった。 お母さんももううるさく言うのは止めようじゃないか。 利久ももう大人だ。
それに雪乃さんのような奥さんがいてくれるなら心配もあるまい。
この話はもう止めだ。 今日はおめでたい席だ。そんな話はもう止めよう。」
父の言葉にすっかりと母は大人しくなってしまう。 結婚して離婚した時は小うるさく言われたものだ。 そもそも芸能界に携わっている人間と結婚なんて、と。



