「はは、そうかそうか。 お母さん、利久は北海道で頑張っているようじゃないか…」
「でもあなた…。 というか、雪乃ちゃんはどう思っているの?
利久やあなたの将来にとって北海道の田舎で開業しているよりも、うちのような大きな病院の方が安心だと思うのよ?
それに雪乃ちゃんは元々東京生まれなんでしょう?
何にもない北海道の田舎はつまらないんじゃないかしら?」
雪乃が少しだけ首をひねる。 けれどハッキリと言った。
「全然つまんなくないです。私北海道も利久さんの動物病院もすごく好きです。
そこで働いている事も楽しいし、東京には全く未練がないんです…。
お母様達も一度いらっしゃってください!すっごく空気が美味しくて素敵な場所ですよ。
ね?利久さん?!」
「あ、ああ…まあな…」
再び両親は顔を見合わす。 母親は納得のいかない顔をしていたが、それとは対称的に父は頬を緩ます。



