【完】セカンドマリッジライフ


俺は余り会話には入っていかなかった。
だだっ広い家は夏だというのにどこか薄ら寒い空気が流れている。

こんな家庭が大嫌いだったから、自分は暖かい家庭を築きたかった。 しかし一回目の結婚でその願いは叶わなかった。

「それに私、利久さんの仕事をとても尊敬しています。 大きな病院ではないけれど、一匹一匹の動物と距離が近くて温かいの。
ああいう雰囲気が作れるのは利久さんがとても心の温かい人だからって私は思います。」

雪乃は真っ直ぐな瞳を両親へと向けて、はっきりとそう言った。

思わず泣きそうになるほどには嬉しかった。 雪乃が俺をそんな風に思ってくれていたなんて。

両親は顔を見合わせて目をぱちくりとさせる。 母親に関してはえらく不服そうだ。 そりゃあそうだ。 この人は俺が北海道で勝手に開業している事も勝手に再婚したことも快くは思っていないんだ。

この人にとって俺は会社の駒の一つで、思い通りに動く事にしか興味はないんだ。