「素敵なお料理!お母様、お料理がとても上手なんですね!」
「あら、そんな事ないのよ。簡単な物ばかりで…」
「とっても美味しいです。私なんて料理がとっても苦手で今は利久さんに教えてもらってるんです!」
「あら、利久…。あなた男のくせに料理なんてするの?」
母親の鋭い視線がこちらへと飛んでくる。 なんつー怖い表情をしやがる。 自分の母だが昔からこの女が魔女に見える。
「利久は昔から器用でなんでもこなすからな。 自分の息子を褒めるようでなんだけれど、雪乃さん。利久は昔から勉強もスポーツも何でも出来て本当に聞き分けの良い子だったんだ。」
親父も親父だ。 こうやって当たり障りない会話ばかりする。 激情家の母親には疲れ切っていて昔から家には寄り付かなかった。
だから俺は暖かい家庭が余り分からない。 一度目の結婚が失敗したのも自分が育ってきた環境が起因している気がしなくもない。
雪乃は雪乃でにこにこしながら両親の話を聞いているが…。
「そぉなんですねぇ~。アハハ、利久さんって家事も料理も私よりずっと上手で尊敬出来ます…!」



