【完】セカンドマリッジライフ


実家に帰った瞬間大きなため息が漏れた。
うちは代々獣医一家だ。 母も父も獣医でそれぞれの医院を持っている。

俺が幼かった頃は仕事で忙しくほぼ家にはいなかった。 両親の中は昔からあまり良くはない。 しかしこうやって他人には理想の家族に見えるように取り繕うのがとても上手なのだ。

張り付けられた笑顔の両親はいつ見てもうんざりする。

「はじめまして、雪乃と申します。 挨拶が遅くなって申し訳ありません!」

「いえいえいいのよぉ。北海道のお土産まで貰っちゃって嬉しいわあ。 今日は雪乃ちゃんの為に頑張って料理をしたの。
遠慮なくいただいてね~」

テーブルに並べられたご馳走が全てデリバリーだというのは知っている。 母は幼い頃から料理をしない人だった。

そのお陰か俺は今でもデパートの総菜などは余り好きではない。 こういった実家には昔からうんざりしていたが、それは二人の兄も同じようで結婚して所帯を持った今も彼らは余り実家には寄り付かない。

父も母も子供たちを育てる事よりもいかにアニマルプロジェクト…。つまりはうちの会社を大きくする事に夢中な私利私欲だらけの人間だ。