【完】セカンドマリッジライフ


緊張すると言ってもどこまでも前向きだ。 そんな彼女を見ているとフッと肩の力が抜けてしまう。

それにしても東京の夏は暑い。
コンクリートだらけの街でじりじりと灰色のアスファルトを焼き尽くす。

空気が悪いんだ。 ホテルからタクシーに乗って実家へと移動をする。 移動する車内で雪乃はやけにはしゃいでいた。 けれどいつもよりハイテンションになり明るくなる時は彼女が無理をしている時だというのは何となく気が付いていた。

俺だって不安だ。 けれどそれ以上に不安なのはきっと雪乃だろう。
車内でぎゅっと握り返した手のひらはじんわりと汗をかいていた。


―――――

「はじめまして。 雪乃ちゃん。 とっても会いたかったのよ。それなのに中々利久が紹介してくれないんだもの。
ねぇ、お父さん。」

「はじめまして、利久の父です。 利久が北海道に移住したのもずっと寂しかったがまさか北海道で結婚しているなんてなあ。
しかもこんな綺麗なお嫁さんを連れて来るなんてびっくりだ。」